今回は、鎌倉幕府の、 御恩と奉公 （ごおんとほうこう）と呼ばれる 封建制度 （ほうけんせいど）を中心に見ていきましょう。
まず１つ目のポイントでは、この封建制度とは何か、ということから見ていきましょう。

鎌倉幕府は、全国の、 御家人 （ごけにん）と呼ばれる武士たちを束ねる政府でした。
御家人とは、簡単に言えば、将軍の家来のことです。

この 幕府とその家来の武士（御家人）の主従関係 は、 封建制度 で成り立っていました。
どういうことなのか、分かりにくいと思うので、具体的に、下の図を見ながら考えていきましょう。

将軍 が 御家人 に対してしてあげることを「 御恩 」（ごおん）、
代わりに 御家人 が 将軍 にお返しするものを「 奉公 」（ほうこう）と言います。

この 御恩と奉公 の関係が、 封建制度 と呼ばれる結びつきです。
これによって、「 幕府とその家来の武士（御家人）の主従関係 」が作られていました。

次は、この御恩と奉公について詳しく見ていきます。

２つ目のポイントでは、御恩と奉公について、より詳しく見ていきましょう。

鎌倉幕府の 封建制度 において将軍が御家人に与える 御恩 とは、一言で言うと 地頭に任命すること です。
将軍が、「ここは地頭であるあなたの土地ですよ」と保証して、その土地の税を徴収することを認めた、ということです。
地頭に任命するにも２パターンあり、すでに領有していた土地の領有権を承認するのが 本領安堵 (ほんりょうあんど)、新たに土地を与えるのを 新恩給与 (しんおんきゅうよ)といいました。

この、 土地の領有権を認める、ということがとても重要 でした。
「一所懸命」という言葉があるくらい、「自分の所領」に「命を懸けて守る」ことが大切とされた時代です。
今までは朝廷の支配下であった日本という国は、鎌倉幕府の成立で、新しく武士の世の中となりました。
だからこそ、そのトップである将軍が、 御恩 という形で土地の領有権を保証することが大切だったわけです。

一方で御家人には、 戦時には将軍のために命をかけて戦うこと が義務付けられました。
鎌倉で何かあったら将軍のためにすぐに馳せ参じる、という「いざ鎌倉」という言葉も残されています。

とはいえ、ずっと戦いばかりしているわけではありません。
平時には警護として朝廷を警護する 京都大番役 などの役割を果たすこともありました。
これらの、戦時や平時に将軍のために戦ったり働いたりすることを 奉公 と言います。

このような 御恩と奉公の関係を、将軍と結んだ武士を、御家人と言います 。
鎌倉幕府の成立直後は、この御恩と奉公の関係が結ばれていない、「非御家人」の人も多くいましたが、だんだんと鎌倉幕府の影響力が広がって、御家人も増えていくことになります。

練習問題で、御恩と奉公による封建制度を確認していきましょう。

封建制度とは、主人と従者が土地を通じて 御恩 と 奉公 の関係によって結ばれている制度のことを指します。
この結びつきができた武士を御家人と言います。

御恩とは、 地頭に任命して、土地の領有権を認めること です。
このうち、既に所有している土地の領有権を承認する 本領安堵 、新たに土地を与えることを 新恩給与 と言います。

一方で 奉公 は、御家人が戦時の軍役のほかに、平時は朝廷を警護する 京都大番役などの御家人役に務めました。