細胞について:2.細胞質基質

ポイント

細胞質基質の働き

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今回は、 「細胞質基質」 について学んでいきます。

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細胞質基質とは、いったい細胞のどの部分だったでしょうか。細胞膜に包まれた細胞の中には、核のほか、膜で包まれた構造物である細胞小器官が存在していますね。そして、核・細胞小器官以外の空間のことを細胞質基質というのでした。

「水分」や「酵素」が含まれている

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細胞質基質に何が含まれていて、どのような機能を果たしているかについて見ていきましょう。

高校 生物基礎 細胞9 ポイント1 細胞の図 囲みのぞく
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図で見ると、細胞質基質は、ただの空間にしか見えませんが、様々な物質がつまっています。

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細胞質基質に一番多く含まれているものは 水分 です。私たち人間の体も約8割が水分でできていますよね。細胞に注目してみても、もちろん水分が多く含まれているのです。

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また、水分以外にも細胞内で行われる様々な化学反応を助ける 酵素 が細胞質基質には含まれています。

一定の方向に動く「原形質流動」

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ところで、細胞内での化学反応は、細胞内で一様に起こっているわけではありません。細胞の上の方で起こっている反応の産物が、細胞の下の方にある小器官で必要なことがあります。

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そのために細胞は、細胞質基質や細胞小器官をゆっくりと循環させることで必要な物質が適切に行き渡るようにしています。

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細胞のうち、核以外のつくりをまとめて 細胞質 といいますが、この細胞質が一定の方向に動く現象のことを 原形質流動 と言います。

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原形質流動にはエネルギーが必要です。なので、原形質流動は生きている細胞でしか観察されません。

ポイント

細胞質基質

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「原形質」「細胞質」「細胞小器官」「細胞質基質」の違い

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では原形質流動という言葉の「原形質」とはどのような意味なのかを確認しましょう。

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「原形質」とは 細胞全体の中身 を指す言葉です。細胞膜の内側すべてと言い換えてもいいでしょう。

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また、原形質は大きく分けて「核」と「核以外」に分けることができます。原形質のうち核以外の部分は 「細胞質」 と言いましたね。

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さらに、細胞質は膜で包まれた構造物である「細胞小器官」と「細胞小器官以外」に分けることができます。細胞質のうち細胞小器官でないもののことを「細胞質基質」と言います。

練習

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解説

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原形質=核+細胞質

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細胞を構成する細胞膜及び、細胞膜より内側の部分のことは原形質です。原形質から核を除いた部分は 細胞質 です。細胞膜も原形質に含まれることも合わせて確認してください。

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細胞質から細胞小器官を除いた部分は 細胞質基質 でしたね。

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細胞質が一定方向に動く現象を 原形質流動 といいましたね。エネルギーを必要とするので生きている細胞のみで観察されます。

答え
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3.ミトコンドリア

ポイント

ミトコンドリアの構造

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前回は細胞質基質や原形質流動について学びました。
細胞全体のことを原形質と呼び、原形質の核以外の部分を細胞質と言いました。
そして、細胞質のうち膜で包まれた構造物のことを細胞小器官というのでしたね。

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今回は細胞小器官の一つである ミトコンドリア について見ていきます。

ミトコンドリアは「呼吸」を行う場所

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図は真核細胞を表し、四角で囲まれた部分がミトコンドリアです。 ミトコンドリアは真核細胞すべてに共通して見られる細胞小器官 です。

高校 生物基礎 細胞10 ポイント1 左の細胞の図だけ、ミトコンドリアは四角で囲う
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「生物すべてに共通」という点からもわかるように、ミトコンドリアは非常に重要なはたらきを担っています。いったい何かわかりますか? 実は、 呼吸を行う場所がミトコンドリアなのです。

酸素を利用して、必要なエネルギーを作る!

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酸素を吸って二酸化炭素を出す行為も同じく呼吸といいますが、今回扱う細胞の呼吸とは異なるので注意してください。

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ミトコンドリアが行う呼吸は、 生きるために必要なエネルギーを作る ことを指します。ミトコンドリアは 酸素 を利用して呼吸を行います。私たちが肺で取り込んだ酸素はミトコンドリアによって利用されているのですね。

「外膜」「内膜」「クリステ」「マトリクス」

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ではミトコンドリアがどのような構造をとっているかをみていきましょう。
ミトコンドリアは、図のように細長い楕円球のような構造をとっています。

高校 生物基礎 細胞10 ポイント1 囲み内のみ 赤字入り
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断面図を見るとミトコンドリアは外側と内側で膜が二重になっていることがわかります。外側のことを 外膜 、内側の膜を 内膜 と言います。内膜はミトコンドリアの呼吸において非常に重要な役割を果たしています。

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内膜は、表面積が大きいほうが反応をより起こしやすくなります。そのため、内側のところどころで凸凹状の構造をとっています。この内側における突起の部分は クリステ という名称がついています。

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さらに内膜で囲まれた部分も呼吸に関わる重要な部分であり、 マトリクス と言います。

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ポイント

ミトコンドリアの特徴

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次にミトコンドリアが持つ2つの大きな特徴について学びましょう。

「独自のDNA」「独自の増殖」

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一つ目の特徴は 独自のDNAを持つ ということです。
生物の細胞には核があり、核はDNAを持っていますが、実はミトコンドリアの中にも、独自の形でDNAが含まれています。

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2つ目の特徴は 独自の増殖 を行うということです。
ミトコンドリアは細胞内に多く存在しますが、最初から多く存在するわけではありません。増殖によって数を増やします。

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しかも、この増殖は、核の遺伝子によって制御されません。ミトコンドリアは、あたかも他の生物であるかのように、独自に増殖しているのです。

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練習

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解説

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クリステとマトリクスの違いに注意

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問題文のうち、 「呼吸の働きをする」 という点が大きなポイントです。
真核細胞にある、呼吸の働きをする細胞小器官は ミトコンドリア でしたね。

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内膜で包まれた部分は、 マトリクス です。ほかにミトコンドリアに見られる構造は外膜・内膜のほか、内側の突起部分のクリステがありますね。

答え
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葉緑体

ポイント

葉緑体の構造

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今回は細胞小器官のひとつである 葉緑体 の構造と特徴について見ていきましょう。

植物細胞にのみある「光合成」の場

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図はある植物の細胞を示したものです。

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植物細胞は私たちの体の細胞と同じ真核細胞です。なので植物細胞には核がありますし、前回学習したミトコンドリアもあります。

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ところで、動物と植物の大きな違いといえば何でしょうか。細かな違いはいろいろありますが、大きな違いの一つは 植物は光合成をする ということですよね。光エネルギーを使い、水と二酸化炭素を利用して、生きるのに必要な有機物を合成するのが光合成でした。

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光合成は植物細胞の葉緑体で行われています。 光合成を行うのは植物だけ なので 葉緑体は植物の細胞にのみ あります。

二重膜の構造になっている

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葉緑体の構造を詳しくみていきましょう。図は葉緑体を拡大した断面図です。

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葉緑体の表面に注目すると葉緑体の表面の膜は 二重膜 でできていることがわかります。ミトコンドリアと同じですね。

扁平構造のチラコイドがある

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内側に視点を移すと、平ぺったい扁平状の構造が重なっているのがわかりますか。

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断面を観察すると複数の偏平の構造が積み重なっていて、長いものと小さなものがあることが見てとれます。

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この扁平の構造を チラコイド と言います。葉緑体はその名前の通り緑色なのですが、この色はチラコイドに入っている 光合成色素 によるものです。光合成色素が光を吸収することで、葉緑体は光合成を行うことができます。

密に重なった「グラナ」 内部空間の「ストロマ」

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さらに内部の図を見てください。

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チラコイドが密に重なっている部分があることがわかります。この部分を グラナ と言います。

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また、グラナやチラコイドに囲まれた葉緑体内部の空間のことを ストロマ と言います。

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それぞれの構造が光合成でどのような働きをするかについては今回は触れません。
葉緑体には二重膜・チラコイド・グラナ・ストロマと呼ばれる構造があることをしっかりおさえてください。

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ポイント

葉緑体の特徴

高校 生物基礎 細胞11 ポイント2 赤入り

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葉緑体には光合成を行うということ以外にも、2つの大きな特徴があります。

「独自のDNA」「独自の増殖」

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特徴の1つ目は、ミトコンドリアは 「独自のDNA」をもつ ということです。
前回学習したミトコンドリアと似た話になりますが、葉緑体は核に入っているDNAと異なる独自のDNAをもっているのです。

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また葉緑体は核の制御から離れて、 「独自の増殖」 を行います。

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「独自のDNA」「独自の増殖」は、どちらもミトコンドリアが持つ特徴と同じですね。 細胞小器官のうち「独自のDNA」を持ち、「独自の増殖」を行うのはミトコンドリアと葉緑体だけ ですから、セットで覚えましょう。

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真核生物の構造:葉緑体

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解説

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葉緑体の4つの構造を覚えよう

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問題文にある「植物細胞」「光合成をする」という部分に注目しましょう。
植物細胞にある、光合成の働きをする細胞小器官は 葉緑体 ですね。

高校 生物基礎 細胞11 練習(2)

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光合成色素を含んでいる、扁平構造の部分は チラコイド といいましたね。チラコイドのほか、葉緑体に見られる構造は二重膜・グラナ・ストロマがあります。グラナはチラコイドが多数重なった部分で、ストロマは葉緑体内部の空間の部分でした。

答え
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